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VPC Peering vs Transit Gateway vs PrivateLink 比較

VPC Peering、Transit Gateway、PrivateLink の 3 つの AWS 接続手法を特徴・コスト・制約・ユースケースで比較。SAA 基礎から SAP の使い分け設計まで解説。

最終更新: 2026-07-27 カテゴリ: ネットワーク接続

AWS で VPC 間やサービス間を接続する代表的な手法として、 VPC PeeringTransit Gateway (TGW)PrivateLink の 3 つがあります。 それぞれ得意・不得意があり、使い分け がアーキテクチャ設計の鍵になります。 本記事では 3 者を多角的に比較し、SAA / SAP 両面で判断基準を整理します。

SAA レベル:基礎概念

3 つの接続手法の位置づけ

手法性質主な接続対象課金モデル
VPC PeeringVPC 間の 1 対 1 直接接続VPC ↔ VPC接続 + データ転送
Transit Gatewayハブアンドスポーク の集約ハブVPC, VPN, DX, TGWアタッチメント + データ転送
PrivateLinkサービス単位のプライベート公開サービス ↔ 消費者 VPCエンドポイント + データ転送

SAA レベル:基礎概念

3 つの本質を一言で:

  • VPC Peering = 「VPC 同士の直接つなぐ」
  • Transit Gateway = 「ネットワークの中央ハブ」
  • PrivateLink = 「サービスをプライベートに公開」 この違いが SAA で最も問われる本質です。

VPC Peering の特徴

VPC Peering は 2 つの VPC を プライベート IP で直接接続 します。

  • 推移的ではない: A-B, B-C があっても A-C は自動接続されない
  • CIDR 重複不可: 両 VPC の CIDR が重なるとピアリング不可
  • リージョン間対応: 別リージョン VPC とのピアリング可能(Inter-Region VPC Peering)
  • トランジットゲートウェイ経由不可: Peering に TGW を介在させられない
VPC-A ──peering── VPC-B     ← 直接接続
VPC-B ──peering── VPC-C     ← 直接接続
VPC-A ────────── VPC-C      ← 通信不可(推移的でない)

SAA 試験のポイント

VPC Peering は 「推移的でない (Non-Transitive)」 という制約が SAA の超頻出です。 「A と B、B と C がピア接続されていても、A と C は通信できない」を覚えましょう。

Transit Gateway の特徴

TGW は 中央ハブ に複数 VPC を集約し、推移的な接続を実現します。

  • 推移的: A→TGW→B, A→TGW→C が可能(ハブ経由で任意の VPC 間通信)
  • VPN/DX も集約可能: ネットワーク接続全体を一元化
  • CIDR 重複の管理: ルートテーブルで経路制御可能(重複自体はNG)
  • TGW Peering でリージョン間接続: 別リージョン TGW とピアリング

PrivateLink は 特定のサービスをプライベートに公開 します。

  • サービス単位: VPC 全体ではなく、特定の NLB / エンドポイントサービスを公開
  • CIDR 重複OK: 消費者側 VPC と提供者側 VPC の CIDR が重複しても可
  • インターネット不使用: プライベート IP でサービスに到達
  • 消費者から提供者への方向のみ: 片方向(サービス提供側へのアクセス)

SAA 頻出

PrivateLink は CIDR 重複を許容 する数少ない接続手法です。 「統合先 VPC と自 VPC が CIDR 重複している」というシナリオでは、 PrivateLink が正解になることが多いです。

SAP レベル:高度な設計シナリオ

使い分けの判断マトリクス

SAP では「どの手法をどのシナリオで選ぶか」の 判断基準 が問われます。

SAP レベル:高度な設計シナリオ

3 つの使い分けは 「接続の粒度」「推移性の要否」「CIDR 重複の有無」「コスト」 の 4 軸で判断します。 以下のマトリクスを参考に、実シナリオに最適な手法を選ぶ能力が SAP に求められます。

シナリオ推奨手法理由
2 つの VPC の単純接続VPC Peering最もシンプル・低コスト
3 つ以上の VPC の相互接続Transit Gateway組み合わせ爆発を回避
CIDR 重複のある VPC 接続PrivateLinkPeering/TGW は不可
SaaS を顧客 VPC に提供PrivateLinkサービス単位で安全に公開
オンプレミス + 複数 VPCTransit GatewayVPN/DX を含む集約
ハブ VPC 経由の全 VPC 接続Transit Gateway推移的接続が必要

コスト比較

手法接続コストデータ転送備考
VPC Peering接続あたり低同リージョン安価最も低コスト
Transit Gatewayアタッチメント時間課金TGW 経由で課金大規模で有利
PrivateLinkエンドポイント時間課金処理データ量課金サービス公開向け

コスト誤解の典型

「TGW の方が常に安い」は誤り です。少数 VPC の接続では VPC Peering の方が アタッチメント料金がかからず安価です。TGW がコスト有利になるのは 一定規模以上 からです。 SAP ではこの閾値判断が問われます。

推移性とトランジットの設計

「推移的接続」が必要かどうかが手法選択の重要分岐点です。

# 推移的接続が必要なケース(TGW 一択)
Hub-VPC ─ TGW ─ Spoke-A
            ─ Spoke-B
            ─ Spoke-C
→ Spoke-A から Spoke-B へも Hub 経由で通信したい

# 単純 1 対 1 のケース(VPC Peering で十分)
VPC-A ─ VPC-B
→ 推移性不要、Peering で最小コスト

トランジットの落とし穴

VPC Peering をハブアンドスポークの代わりに使うことはできません。 中央 VPC をハブにして Peering を張っても、推移的でないため Spoke 間通信は不可。 この制約から TGW が生まれたと言っても過言ではありません。

CIDR 重複シナリオの解決

M&A や統合で CIDR が重複した VPC 同士を接続 する必要がある場合、 Peering も TGW も使えません(経路が衝突するため)。

この場合、PrivateLink でサービス単位の接続にするか、 CIDR の再設計(移行) が必要になります。

シナリオ選択肢理由
特定サービスだけ接続できればよいPrivateLinkCIDR 重複を許容
ネットワーク全体を統合したいCIDR 再設計根本的解決が必要
一時的な統合期間PrivateLink で橋渡し移行中の暫定対応

M&A 統合の定石

M&A で社内ネットワーク統合する際、まず PrivateLink で必要サービスだけ接続 し、 並行して CIDR 再設計を進める 段階的移行 が SAP の実務定石です。 一気に TGW 統合しようとすると CIDR 衝突で停止リスクが高まります。

PrivateLink の構成は「サービス提供者」と「消費者」に分かれます。

[消費者 VPC]
  └── Interface Endpoint (ENI)
        │ (プライベート IP)

  [AWS PrivateLink]

  [NLB] (サービス提供者 VPC)

  [提供者アプリケーション]
  • Interface Endpoint: 消費者 VPC に ENI が作られ、プライベート IP でサービスに到達
  • Gateway Load Balancer Endpoint: セキュリティアプライアンス向けの特殊エンドポイント
  • Gateway Endpoint: S3/DynamoDB 専用(ルートテーブルベース、無料)

SAP レベル:高度な設計シナリオ

SAP では 「Interface Endpoint と Gateway Endpoint の違い」 が問われます。

  • Gateway Endpoint = S3/DynamoDB 専用、無料、ルートテーブル制御
  • Interface Endpoint = 汎用、有料、ENI ベース この違いを押さえ、コスト最適なエンドポイントを選ぶ能力が求められます。

ハイブリッド構成の実例

実務では 複数手法を組み合わせる のが普通です。

[オンプレミス]
    │ (DX Transit VIF)

[TGW] ── VPC-A (本番アプリ)
  │  └── VPC-B (本番DB)

  ├── PrivateLink ── SaaS プロバイダ VPC (CIDR 重複)

  └── VPC Peering ── VPC-Shared (少数の共有サービス)

ハイブリッド設計の要点

  • メインのネットワーク統合 = TGW
  • CIDR 重複の外部サービス = PrivateLink
  • 単純 1 対 1 で低コストに済ませたい = VPC Peering のように、用途に応じて使い分ける のが SAP の実務姿勢です。

比較まとめ表

項目VPC PeeringTransit GatewayPrivateLink
接続単位VPC 間ネットワーク全体サービス単位
推移性なしあり(ハブ経由)片方向
CIDR 重複不可不可
リージョン間可能 (Inter-Region)TGW Peering で可能可能
オンプレミス統合不可VPN/DX 集約可不可
コスト最低中〜大規模で有利サービス公開向け
管理複雑さ単純中程度単純

まとめ

  • SAA: 3 つの本質(Peering=直接, TGW=ハブ, PrivateLink=サービス公開)と、 Peering が「推移的でない」点を理解する。
  • SAP: 使い分けの判断マトリクス、CIDR 重複時の PrivateLink 活用、 コスト閾値、ハイブリッド構成の設計が求められる。

次は AWS PrivateLink の単体記事で、エンドポイント設計をさらに深掘りします。

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