ストレージ階層の最適化 — S3ライフサイクルとEBSボリュームタイプ
アクセス頻度に応じた階層移行の設計と、gp3への移行によるコスト削減を解説します。
コンピューティングと並んでコストインパクトが大きいのがストレージです。 本記事では、S3のライフサイクル設計とEBSボリュームタイプの最適化を解説します。
SAA レベル:基礎概念
EBSボリュームタイプの基本
| タイプ | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| gp3(汎用SSD) | ベースライン性能とIOPS・スループットを個別に指定可能 | 汎用的なワークロード(推奨デフォルト) |
| gp2(汎用SSD、旧世代) | 容量に比例してIOPSが決まる | レガシー構成 |
| io2 Block Express | 高IOPS・低レイテンシ | ミッションクリティカルなデータベース |
| st1(スループット最適化HDD) | 大容量シーケンシャルアクセス向け | ビッグデータ、ログ処理 |
| sc1(コールドHDD) | 最安価格帯 | アクセス頻度が非常に低いデータ |
SAA 試験のポイント
gp3は、gp2と異なり容量とIOPS・スループットを独立して設定でき、必要な性能だけを購入できるため、多くの汎用ワークロードでgp2よりもコスト効率が良いという点がSAAで頻出します。
SAP レベル:高度な設計シナリオ
gp3への移行によるコスト削減
SAP 試験のポイント
gp2では、ボリュームサイズに応じてIOPSが自動的に決まります(3 IOPS/GB、最大16,000 IOPS)。そのため、大容量だが高いIOPSを必要としないワークロード(大きなログ保存領域等)では、gp2で不要なIOPSに対して割高な料金を払っているケースがあります。gp3に移行し、実際に必要なIOPS・スループットだけを明示的に指定することで、同等以上の性能をより低コストで実現できる、というのがSAPで問われる典型的なコスト最適化シナリオです。
S3ライフサイクルポリシーの設計パターン
SAP 試験のポイント
アクセスパターンが明確なデータ(ログ、監査証跡等)については、Intelligent-Tieringの監視コストをかけずに、明示的なライフサイクルルール(例: 30日でStandard-IA、90日でGlacier、365日で削除)を設計する方がコスト効率が良いケースが多いです(2-3のS3記事でも解説した通り、アクセスパターンの予測可能性が判断軸になります)。
| データ種別 | 推奨されるアプローチ |
|---|---|
| アクセスパターンが予測可能(ログ、バックアップ等) | 明示的なライフサイクルポリシー |
| アクセスパターンが不明・変動する | S3 Intelligent-Tiering |
設計上の落とし穴
「小さいオブジェクトを大量にGlacierへ移行すればコスト削減できる」という判断には注意が必要です。Glacierへの移行・取り出しには**リクエストごとの料金と、オブジェクトサイズに対する最小課金単位(一定サイズ未満でも課金される)**が存在するため、非常に小さいオブジェクトを大量に持つ場合、Glacier移行がかえって割高になるケースがあります。SAPでは、オブジェクトサイズと数を踏まえたコスト試算の考え方が問われます。
EBSスナップショットのコスト管理
- 増分バックアップ方式(最初のスナップショットのみフル、以降は差分)のため、頻繁なスナップショット取得自体は比較的安価だが、不要になった古いスナップショットの削除忘れがコスト増の典型的な原因になる
- AWS Backupやライフサイクルマネージャー(DLM)を使い、スナップショットの自動作成・自動削除ポリシーを設定することで、手動管理の漏れを防ぐ
まとめ
- SAA: gp3がgp2よりIOPS・スループットを柔軟かつ低コストで設定できることを理解する。
- SAP: gp2→gp3移行によるコスト最適化の考え方、アクセスパターンに応じたS3ライフサイクル設計、小さいオブジェクトのGlacier移行における注意点を踏まえた判断ができる。
次は サーバーレス活用によるコスト削減を見ていきましょう。